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​CPシフト

​​<真っ直ぐ振っても真っ直ぐ飛ばない>

CP shift Fomular & Figure2.png
ゴルフの幾何学 図3,4.png

CP(クラブパス)シフトとは、アタックアングル がゼロでない時にスイングダイレクション とインパクト時のクラブパス がずれる現象のことです。そのずれる大きさは、

クラブパスのずれ= -アタックアングル/tan⁡(スイングプレーン)

となります。

例えば、アタックアングルがマイナス5度、スイングプレーン が60度とすると約3度インサイドアウトになります。この3度の角度は、100ヤードで5ヤードに相当します。これは、何を意味するかと言うと、ダウンブローで打つ限り、スイングダイレクションが真っ直ぐ(目標方向に平行)では、インパクト時のクラブパスがインサイドアウトになり、目標方向に真っ直ぐなストレートボールは、打てないと言うことです。 つまり、

「真っ直ぐ振っても、真っ直ぐ飛ばない」のです。

目標方向に真っ直ぐ飛ばすには、アタックアングルがマイナス5度ですとスイングダイレクションを約3度左方向に向けないと不可能と言うことになります。この3度ですが、100ヤードで約5ヤード、150ヤードで約8ヤード、200ヤードでは、実に約10ヤードに相当します。この線をアライメントスティックで合わせて、そこにアドレスしてみると、目標に対して、恐ろしく左に向いているように感じるでしょう。それだけ、スイングダイレクションを左に向けないとクラブパスを真っ直ぐ出来ないのです。勿論クラブパスが右を向いていてもフェースアングル をクローズにすることによってドローボールで目標を狙うことも出来ますが、後述するようにボールを曲げて目標を狙うことは、簡単ではありません。 ドライバーでアッパーブローに打つ場合は、逆にスイングダイレクションを右に向けないとインパクト時のクラブパスが目標方向に真っ直ぐには、なりません。例えば、2度アッパーブロー、スイングプレーン50度とするとクラブパスのずれは、約2度左になります。2度は、250ヤード先では、左に約8ヤードずれることになります。それだけ右を向かないとクラブパスが真っ直ぐになりません。これも実際に構えてみると、想像よりかなり右を向いているように感じるでしょう。

ここで、注意すべきことは、インパクトでのクラブパスをターゲットラインに真っ直ぐにしようとするなら、ダウンブローに打つ場合、インパクト直前にクラブヘッドがターゲットラインの外側になることはなく、インパクト時点のクラブヘッドが最も外側になると言うことです。これは、スイングダイレクションを左に向けた状態でクラブヘッドが最も体から遠い時点がインパクトになるからです。(図3参照)

同様にアッパーブローの場合、インパクト直後にクラブヘッドがターゲットラインの外側になることはありません。(図4参照)

ここで、どうしてCPシフトが生じるのか説明すると、円運動の最下点でボールを打っていないからです。円運動の最下点で打った場合、つまりアタックアングルがゼロの場合は、CPシフトは起りません。フラフープを斜めにして、最下点の前、つまり右打ちだと最下点の右側では、円の接線が右に向いていることがわかるでしょう。最下点の後ろ、左側では、円の接線が左に向いています。この向きは、円の直径によって変わるのではないかと思うかも知れませんが、ボールに当たる瞬間の垂直方向の角度(つまりアタックアングル)が同じなら、円の直径に関係なく、接線の方向は、同じです。スイング中クラブヘッドは、完全な円運動ではなく、楕円運動となるのですが、それでもインパクト時のアタックアングルとスイングプレーンが決まれば、クラブパスのずれ量は決まるのです。

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​​ボールを曲げてピンに寄せる

​​<適正フェースツーパスを知ろう>

ボールを曲げてピンに寄せることは、簡単なことではありません。ボールを曲げることは、それほど難しいことではないのですが、その曲がり具合をコントロールすること、また飛距離やボールが落ちてからのランも考えるとボールを曲げてピンを狙うことは、非常に多くの要素を考慮しなければなりません。

まず、ボールが曲がる要素を考えると、横風とかフェースのスィートスポットから外れて打った場合、また前上がり等の傾斜地から打った場合等ありますが、ここでは、 D Plane理論によるスピン軸の傾き のみを考えます。

スピン軸の傾きは、クラブパスとフェースアングルの2つの方向の差異によって起ります。クラブパスよりフェースアングルが右に向いていれば、スピン軸は、右に傾き、ボールは、右に曲がって行きます。逆に場合、クラブパスよりフェースアングルが左に向いていれば、スピン軸は、左に傾いて、ボールは、左に曲がっていくのです。

フェースアングルとクラブパスの差をフェースツゥーパスと言います。 どうやって、フェースツゥーパスを作るのか、最も簡単なやり方は、グリップを変えてフェースを閉じたり開いたりして、一方スイングは、変えないで普通に真っすぐ振ることです。スイングを変えないでクラブパスを変えるには、アドレスの向きを変えれば良いのです。 アドレスの向きを変えないでクラブパスを変えるのは、スイングを変えることになり、ボールを正確に捕えることが、難しくなることが、考えられます。

ボールの出ていく方向(出玉方向)は、ほぼフェースの向きとなります。厳密には、アイアンでフェースツゥーパスの約70%と言われていますが、この割合は、フェース面の摩擦係数等で決まりますので、一般的には、決まりません。そこでここでは、出玉方向は、フェースの向きとなると考えます。

ゴルフの幾何学 図5_edited_edited.jpg

ドローボールの場合、ボールの出玉方向は、目標の右側で、左に曲がって目標に向かいます。フェードボールは、その反対にボールは、目標の左側に出て行き、右に曲がって行きます。 ボールが目標方向に行くには、クラブパスは、ドローボールの場合、ボールの出玉方向よりさらに右に向くことになります。クラブパスをどれほど右に向ければボールが目標方向に行くのか、それは、目標とボールの出玉方向の角度と目標までの距離、及びスピンロフトに関係します。 フェースアングルとクラブパスの差、つまりフェースツゥーパスが大きいとボールの曲がりも大きくなります。また、距離が長くなると滞空時間が長くなりますから、その分ボールの曲がり幅も大きくなります。 また、スピンロフトが小さくなるとバックスピンが少なくなりますが、するとスピン軸の傾きが大きくなります。スピン軸の傾きは、バックスピンと横方向のスピンの合成ですから、バックスピンだけ小さくなるとスピン軸の傾きが大きくなるのです。つまり、同じ距離でもロフトが小さなクラブで打つ方が、同じフェースツゥーパスでも曲がりが大きくなるのです。

目標までの距離、出玉方向及びスピンロフトが決まれば、目標近くに着弾するためのクラブパスが求められます。 出玉方向とクラブパスの関係は、簡単な式では、表せず、上図のようになります。出玉方向(目標からの横方向距離)をX、出玉方向とクラブパスの方向をYとすると、その比Y/X(Target Path Ratio:ターゲットパス比)は、下図のようなカーブになり、このグラフをFace Path Chartと云うことします。

CPシフト: 概要
CPシフト: 概要
Face Path Chart.png

​​ボールを曲げてピンに寄せる

​​その2

ドローとフェードでは、ドローはフェースをクローズにし、フェードは、フェースをオープンにすることになり、ドローを打つ方が、ロフトが小さくなるので、フェースツゥーパスも小さくなります。また、ヘッドスピードが速いプレーヤーは、同じ距離をより大きなロフトのクラブで打つことになるので、フェースツゥーパスが全体に大きくなります。

例えば、ピンまでの距離を100ヤード、出玉方向をピンの右5ヤードとすると、グラフよりY/Xが約3ですから、クラブパスは、出玉方向よりさらに約15ヤードピンの右に向ければ、ピン方向に行くことになります。ピンまでの距離が150ヤード、出玉方向を同じく右5ヤードとすると、Y/Xが約1.5ですからクラブパスは、出玉方向の右約7.5ヤードとなります。

ピンまでの距離200ヤードで同条件の時は、Y/Xが約0.8で、クラブパスは、出玉方向の右約4ヤードとなります。 フェードボールで目標を狙う場合、距離が150ヤード、出玉方向を左5ヤードとすると、Y/Xが約1.6ですからクラブパスは、出玉方向の左約8ヤードとなります。

出玉方向を左10ヤードとすると、クラブパスは、出玉方向の左16ヤードとなります。この場合、クラブフェースを約6度オープンにすることになります。すると約2度ロフトが多くなります。すると約半番手飛ばないことになりますので、1番手上げるとロフトがその分少なくなるので、計算するとY/Xが約1.5になり、クラブパスは、出玉方向の左15ヤードとなります。

フェースツゥーパス を変化させて打つ場合、フェースをクローズまたはオープンにして打つことになりますが、そうするとロフトが変わります。すると飛距離が変わってきます。計算に必要なフェースアングルの変化は、次式になります。

フェースアングルの変化=tan^(-1)⁡((X+Y)/目標までの距離)-tan^(-1) (X/目標までの距離)

ライ角を65度とするとフェースアングル8.5度の変化は、約4度ロフトが変化します。4度と言うと9番アイアンとピッチング・ウェッジのロフト差が5度位ですから、約1番手変化します。ドローボールの場合、1番手分飛ぶと考えてショットしないといけません。150ヤードの時は、ロフトの変化は、約1.5度になります。番手間のロフト差は、だいたい4度位ですので、この場合も3分の1番手変化することになります。200ヤードの場合は、ロフトの変化は、約0.7度ですが、200ヤード飛ぶクラブの番手間のロフト差は、約2度になりますから、約3分の1番手分飛距離が変わることを考えてショットしないといけません。

以上をまとめると下表になります。

このようにボールを左右に曲げて目標を狙うことは、もの凄く難しいのです。プロレベルのゴルファーは、膨大な練習によって、ボールの曲がり量、目標までの距離から瞬時にどこを向いて、どうスイングしたら目標方向に行くかが分かるのでしょう。しかし、そのレベルを目指すジュニアゴルファーやアマチュアの上級者は、計算で求めたクラブパスやロフト変化からどうスイングするべきか知ってそれを目標にして練習することが上達の早道になると思われます。

コーチやレッスンプロも単にドロー・フェードの打ち方を教えるのではなく、どうやったらボールを曲げてピンに寄せることが出来るのか数値を示して教えるべきです。

ドロー曲げ幅5ヤードの時のロフト変化B.png
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